IIT採用の難関 PPT (Pre Placement Talk) とは?

こんにちは、HRピコです。

今回はインドIIT採用を実施する人事・採用担当者が知っておくべき、PPT (Pre Placement Talk) について、私の経験からしっかりとご説明出来ればと思います!

そもそもPre Placement Talkってなに? IIT採用担当者は避けては通れない。

IIT採用に携わっていても、「PPT…なにそれ食べられるの?」という方もいるかと思います。

一言でいうと、学内企業説明会です。日本国内での新卒採用に関わっている人事の方だけではなく、新卒で就活をして会社に入った方ならすぐにイメージが湧くと思います。日本では、就活が解禁すると、大学に何社もの企業の人事が来て、教室や講堂を使って就活時期の学生にあれやこれや説明をする時期、ありますよね。 あれのIIT版です。

ですので企業側の実施目的は、学生に自社をアピールすること、自社を理解いただくこと、その年にIITで募集予定のポジションを告知し、応募を促すこと、となります。

大体の場合、これも日本の大学での説明会と似ていると感じますが、IIT内の大教室を割り当てられ、30分程度の時間をもらえます。以下、私が参加した時の写真です。現地のイメージ伝わると嬉しいです。

とある年は、大教室での説明に追加して各企業ブースを持たせてもらいました。

IIT 講堂IIT校内の大教室での実施

そもそもIITの「Placement (プレイスメント)」ってなに?

”Placement (プレイスメント)” というワードはIIT採用に携わっているとよく耳にしますね。あまりなじみのない英単語ですので、引用しておきます。

placement

【名】

  1. 置くこと、配置、配列、席順
  2. 職業紹介、就職あっせん
  3. 〔生徒の習熟度などに応じた〕クラス分け
  4. 〔テニスやサッカーなどの〕正確な[狙いどおりの]ショット[打球]、プレースメント
  5. 《アメフト》プレースメント◆プレース・キックのためにボールを置くこと、またはプレース・キックそのものを指す。
  6. 〈英〉〔大学の〕実習科目◆【同】〈米〉practicum
  7. 《囲碁》置き

出典:英辞郎

 

上記2つ目の意味となります。就職あっせんと言われても、しっくりこないかもしれませんが、IIT内ですと、「学生が就職活動をするプロセスの全体」を表現する言葉としても使います。アメリカやその他アジア地域での採用にも関わったことがありますが、そういった地域ではあまり耳にすることのない単語だったので、英国風の単語なのかもしれません。

IITの就職課 (IITにおける採用活動全体のプロセスを管理したり、就活中の学生のサポートをする組織) “Placement Office” と呼びますし、企業として「今年IITの採用プロセスに参加します」と言いたいときは ”Placementに参加すると表現できます。インターンとの対比としても使われますね。この社員はインターン経由で採用になったけど、あの社員はPlacement で採用したよ という具合です。

Placementに参加をせず、インターンに来てもらった学生を早期に採用出来るプロセスもあるので、それは後々記事にします。

 

IIT採用プロセスにおけるPPTの実施時期

図にざっくり書いていますが、企業がIITの採用に参加登録し学生が応募するまでのあいだに、所謂 母集団形成のために実施することになります。

 

IIT採用プロセス

基本的には現地 (IITの学校内) で行いますので、読者が採用担当だった場合はインドに出張することになります。

 

なお、企業説明会のためだけに日本から出張するのはコスパが悪いかも…という方もいるかと思います。日本にはインド採用サポートを提供している企業もあり、彼らのサービスのなかにはPPTの代行サービスもあります。

 

7月頃に企業としてPlacementに登録 (オンラインで企業情報の入力などをします) すると、IITPlacement Office (就職課) から企業担当の学生が付きます。彼らがその年のPlacement において私たち企業の連絡窓口となります。ちなみにPlacement Officeは、IITの現役学生が運営しています。一応担当教授的な立ち位置で、教員も所属していますが、学生が主導していた印象です。

 

IITのPlacement Officeも、奥が深いです。直接関わる中で得た知識も、いずれ記事で紹介します。

 

IIT採用でPPT実施する際のポイント -日程決め-

実際にPPTに参加することは決めたが、「具体的にいつやるか」という部分では、やや細かいですが私の経験上以下のポイントを意識すると良いと思います。

 

まずは自社を担当してくれる窓口の学生に「PPTやりたいです!」と伝えましょう。そこからさまざまな点を詰めていきます。

 

企業の応募ポジションが公開されたり、学生が応募を始める前に実施する。

PPTは母集団形成のフェーズにおける活動になりますので、「学生が企業に応募を始めた10月中旬以降にやります」 というのは時期を逃しています。Placementプロセス開始~学生の応募開始 のあいだにしっかりと自社の魅力を伝えていくことが重要です。

 

学生が来られる時間帯に実施をする。

授業がみっちり詰まっているような日中などは、可能な限り避けた方が良いでしょう。IITの学生は、日本の学生と比べて (?) 、授業をサボることは少ない印象です。テスト日程なども検討の参考になるでしょう。そのあたりは、Placementの企業窓口の学生にしっかり相談してアドバイスをもらいつつ決めると良いと思います。

 

他の企業とバッティングしない日時に実施をする。

いわずもがな、Placementに参加をする他企業もPPTを実施する場合があります。PPTに参加することに対するIIT生のモチベーションはとても高いので、超有名企業 (Google やゴールドマンサックスなど) が別の教室でやってます!のような日時も避けましょう。自社と別業種であれば、採用する学生はカブらないかもしれませんが。

 

IIT採用でPPT実施する際のポイント -説明会の内容-

先に書いた通り、たいていは大教室を割り当てられ、30分程度の時間をもらえます。ただ、 (これはインドの良いところ?かもしれませんが) 30分を過ぎて学生とのQ&Aなどで説明が続いても、なーんにも言われませんのでご安心を(笑)

PPTでの説明は必ず英語です。インドの学生に響くような内容を加えたり、ポジションの詳細な説明を加えていくと良いでしょう。インド (や他の国でもそうですが) どの企業に入るかに加えて、そこで自分は何が出来るのか (=職種) が非常に重要なので、募集予定のポジションをより明確に説明する必要があります。以下がアジェンダのイメージです。

  1. 自社の概要説明
  2. インドでのビジネス紹介など (自社がインドでもビジネスを展開している場合。)
  3. IIT卒業生による、日本での生活や日々の仕事の紹介
  4. その年のPlacementで採用予定のポジションの説明 (想定仕事内容、必要な専門性、年収、程度で説明します。)
  5. 選考プロセス
  6. 語学研修など、外国籍社員向けサポート体制の説明
  7. &A

 

企業によっては、募集ポジションのHiring Managerにも同行してもらい、ポジションの説明などを熱弁してもらう場合もあります。

 

IIT採用でPPT実施する際のポイント -IIT生が興味を持つポイント-

同じ学生でも日本の学生とIIT生が興味を持つポイントは違います。以下が、PPT中で (良くも悪くも) IIT生の食いつきが良かった内容です。

 

募集ポジションについて

自分の専門性に合致するポジションはあるか、という点で彼らにとって非常に重要な情報です。Q&Aでも、「自分は〇〇専攻なんだけど、このポジションに応募しても良いか?」というような質問が非常に多いです。Hiring Managerがその場にいればこういった質問にもすぐに答えられると思いますが、人事が詳細に把握していない場合もありますよね。そういった場合は、「応募が開始すると募集要項も出ます。(求人オープンの事前に企業で準備します) そこにはマッチする専攻なども書いてあるので、公開されたら読んでくださいね」と答えるようにしていました。

 

年収について (プレゼン中、初任給を記載したスライドをめちゃくちゃ写メられました)

そもそも求人を公開する際に初任給や福利厚生なども公開します。正直ですね、米系企業と比べて日本の企業は年収が低いので、IIT生にはがっかりされることもあります。今は新卒でも能力に応じて初任給に違いを付ける、という企業もありますが、米系だと2,000万円程度の給与パッケージを持ってIITに来る企業もザラです。採用担当としては、学生からの反応、競合企業の状況など現地で得た情報をしっかりと社内にフィードバックして、報酬制度を企画している部門とも連携したりする必要がありますね。

 

選考プロセスについて (これもプレゼン中めちゃくちゃ写メられました)

面接は (IITのルールで) 1回ですが、企業によっては、12月の面接の前に、コーディングのテストなどを設けていることもありますので、学生としてはそういった企業特有のテストなどがあるかを知りたいようです。

 

IIT採用でPPT実施する際のポイント -PPTIITに行ったらしておくべきこと-

 

Placementとの関係性作り

先述したように、IITの採用プロセスは学生主体のPlacement Officeが管理しており、なんなら牛耳っていると言っても過言ではありません。自社の窓口をしてくれている学生に直接挨拶をしたり、今後の打ち合わせなどもここでしっかりしておきましょう。

 

学内見学

ぜひ校内を色々見てみてください。たいていのキャンパスでは、「ひろっっ!」と思われることと思います。学生はほぼ全員キャンパス内の寮に住んでおり、校内は自転車移動です。企業人事のような外部の人間は、車で行って校内も車で回ることになります。

 

あ、あとインドあるあるかもしれませんが、キャンパス内に牛が寝ていたりします

 

面接会場の下見

12月の面接は、IITキャンパス内の学生の寮のせまーい部屋で行われます(笑)面接の様子も今後記事に出来ればと思いますが、校内のどのあたりの建物で実施されるのかも、是非事前に見ておくと良いと思います。

 

さいごに

思ったよりも長文になってしまいました。Pre Placement Talkに参加をするには、準備すべきことや考えるべきことが多いので、当初は軽い気持ちで付けたタイトル「IIT採用の難関」もあながち間違ってないですね。

ただ、ここでしっかり学生に自社の魅力を直接アピールをしたり、IITの現場を現地現物してくることには大きな価値があると思います。

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